フリーランスのSEとして生きていく為に必要なこととは?

2017年1月8日

2021年6月18日

ITエンジニアの働き方として、会社員とフリーランスでは一体何が違うのでしょうか。また、フリーランスSEとして生きていく為には何が必要なのでしょうか。本稿ではこれらの疑問に対して、実際に会社員から独立してフリーランスエンジニアとして活動している私独自の視点で掘り下げて説明していきたいと思います。

会社員SEとフリーランスエンジニアの違い

会社員SE(システムエンジニア)とフリーランスエンジニアの違いについてまとめてみました。

仕事は継続的にあるか

・会社員SE … 〇:継続的にある。 ・フリーランスエンジニア … △:継続的にあるとは限らない。

収入が安定しているか

・会社員SE … 〇:概ね安定している。 ・フリーランスエンジニア … ×:安定していない。

生活の保障はあるか

・会社員SE … 〇:概ね保障されている。 ・フリーランスエンジニア … ×:保障されていない。

担当業務のみに集中できるか

・会社員SE … 〇:集中できる。 ・フリーランスエンジニア … △:経理、営業など担当業務以外もこなす必要がある。

上司や同僚、仕事の内容や働く場所を選ぶことができるか

・会社員SE … ×:選ぶことはできない。 ・フリーランスエンジニア … 〇:選ぶことができる。

仕事の掛け持ちは可能か

・会社員SE … △:副業が禁止されていることもある。 ・フリーランスエンジニア … 〇:掛け持ち可能。

大幅な収入アップは可能か

・会社員SE … △:大幅なアップは難しいことが多い。 ・フリーランスエンジニア … 〇:自分次第で可能。

生涯現役でいられるか

・会社員SE … ×:いられない。 ・フリーランスエンジニア … 〇:いられる。 会社員SEの最大のメリット。それは何と言っても、安定した収入が保障されていることでしょう。また、病気やケガで一時的に仕事をするのが困難になった場合でも、有給休暇や社会保険などの各種制度によって生活がある程度保障されています。納税や営業活動といったことは専門の部署がやってくれますので、担当業務に専念することができます。しかし、こういった多くの特典がある一方で「選択の自由」は少ないと言って良いでしょう。たとえ望まない仕事や人間関係でストレスが溜まったとしても、会社の命令には原則従う必要があります。 他方、フリーランスエンジニアはというと、お金、時間、健康といった全てのことが「自己責任」になる代わりに「選択の自由」が与えられます。仕事を自分で選ぶことができ、実務に関わりながら興味のあるスキルを伸ばしていくことができます。自分のマネジメント次第では、好きな仕事をいくつも掛け持ちすることが可能ですし、会社員時代には到底考えられないような大幅な収入アップも可能となります。

フリーランスエンジニアとして生きていく為に必要な10のこと

私自身がフリーランスとして活動た経験の中で、フリーランスエンジニアとして生きていくなら絶対に必要だと感じていることを挙げてみました。

健康管理

フリーランスエンジニアは体が資本です。病気やケガで働けなくなると、その間は収入がバッタリ途絶えます。そんな事態にならないように、日頃から栄養バランスのとれた食生活や適度な運動を心がけ、健康を維持するように努めましょう。また、万が一の備えとして、公的な健康保険だけではなく民間の保険にも加入しておくことをおススメします。

人脈をつくる

フリーランスエンジニアの仕事は「人脈が命」と言っても過言ではありません。仕事を紹介してくれる会社やアドバイスをくれる同業者など、人とのつながりを大切にしてください。私自身最初の頃は、フリーランスはとにかく孤独というイメージを持っていました。しかし実際に活動していると、これまで人の親切や御縁に何度も救われている事実があります。むしろ経験を積むごとに、一人の力では何も出来ないことを痛感しています。そのため、日頃から交流会など人が集まる場に積極的に出向くなどして、良い人脈のネットワークをつくるよう努めてほしいと思います。勿論、人脈をつくるためには、自分自身が信頼されるに足る人間でいる努力も必要不可欠です。

営業を行う

「人脈をつくる」ことと似ていますが、日々の業務と並行して、営業活動もこなす必要があります。これは仕事が途切れるリスクを回避するために重要なことです。仕事はいつ突然なくなるか分かったものではありません。そのような事態になった場合に影響を最小限に留めるためにも、信頼できる営業チャネルを常に複数確保しておくことをおススメします。

スキルを向上させる

仕事を頂くためには、自分のスキルと取引相手が求めるスキルがマッチする必要があります。日進月歩のIT業界の中で、常に必要とされるITエンジニアで居続ける為には、求められているスキルを身につけるため勉強をし続けなければなりません。またフリーランスエンジニアは、自らの価値に自ら値段をつけ、取引相手に対してプレゼンすることになります。より高い評価を頂く為にも、日々スキルアップを図り、自らの市場価値を上げる努力が必要です。

商談力を磨く

フリーランスは、実務をこなす人である前に「営業マン」であり、取引相手と直接交渉し、報酬や労働条件、担当業務の範囲、契約期間、支払い方法といった諸々について話し合いながら決定していきます。取引先に足元を見られて一方的に不利な条件となることがないよう、経験を重ねて商談力を磨いていくようにしてください。

お金のことを勉強する

フリーランスエンジニアは、会社でいうところの「経理」もこなす必要があります。お金のことはしっかり勉強しておきましょう。独立後最初の壁として、確定申告が待っています。確定申告は申告方法によって、各種帳簿を揃えて役所に提出する必要があるため、その記帳方法や日々の証拠保全に関して知識が必要になります。また、税制度や年金・保険の仕組みも政策によって変わることがありますので、その辺りにも無関心ではいられません。退職金もありませんので、計画的な資産形成を行っていくことも大事です。

家族を大事にする

仕事が忙しいときや苦労しているとき、家族との時間や家族の気持ちに疎くなってしまうことがあります。 しかし家族は、独立という自分のわがままな選択を許し、見守り、そして支えてくれる最も身近で頼れる存在です。家族と過ごす時間を大切に考えて、たとえ仕事が忙しくても、家族とのコミュニケーションの時間をしっかり確保するようにしてください。 仕事がうまくいっている人は往々にして家族との絆も深いと感じます。

仕事とプライベートのメリハリをつける

フリーランスは、働き方を自分で柔軟に選択できる分、仕事とプライベートの境界が曖昧になりがちです。「プライベートに仕事は一切持ち込まない」といったように、オンとオフをしっかり切り替えるように意識した方が、心身ともに健康で過ごしていけると思います。

中・長期的なビジョンをもつ

フリーランスとして仕事をしていると、今取り組んでいる開発に没頭したり、次の仕事のことを考えたり、どうしても目先のことに気を取られがちです。しかし短期的な視点ばかりではなく、1年後、3年後、5年後、10年後といったように、「どういうスキルを身につけていたいか」「どういう働き方をしていたいか」「貯金はいくら」で「どういう生活をしていたいか」など、様々なライフイベントを考慮して、中・長期的な目標として考えることは、人生設計を行うという意味でも大事なことです。 その目標を持つからこそ、無駄な時間を過ごすのではなく勉強会に行ったり人生をプラスにするような本を読んで成長させていけるのです。

覚悟を持って取り組む

フリーランスエンジニアとして生きていく為に必要なものとして忘れてはならないものに「覚悟」があると思います。ここで言う覚悟とは、絶対にフリーランスとして生きていく、という「覚悟」ではありません。「どんな困難な状況に陥っても、自分で道を切り開いていく」という「覚悟」です。フリーランスは自己責任のもと、全てのことを自分で決めていく必要があります。基本的に誰も守ってはくれません。私は今フリーランスエンジニアとして活動させてもらっていますが、例えばこの先、フリーランスであることが家族に迷惑をかけるようなことがあるなら、すぐに会社員に戻るなり他の働き方を選択しようと思っています。 要するに、どんな状況でも思考停止に陥ってはならず、責任は自分にあると捉えて、何とかしようと必死に考え、柔軟に選択し、道を切り開いていくという「覚悟」がフリーランスには必要だと思うのです。守られていた会社員時代の保護意識を抱えたまま、単なる憧れだけで独立することはとてもリスキーです。しっかりフリーランスとして意識を転換し、覚悟を持って取り組んで頂ければと思います。

まとめ

さて、ここまで「会社員SEとフリーランスエンジニアの違い」および「フリーランスSEと生きていく為に必要なこと」について触れてきましたが、いかがだったでしょうか。 ITエンジニアという職種は、とてもクリエイティブでやりがいに満ちた仕事です。それゆえ、会社の中で経験を積み、ある程度スキルが身についた時、「これからは興味の赴くままに好きな技術に挑戦したい」、「自分で新たなプロダクトを生み出して世の中に発信したい」といった熱い想いが芽生えてくるのはITエンジニアなら当然のことかもしれません。その想いを汲み上げるように、フリーランスエンジニアが働きやすい環境は着実に整ってきています。本稿はフリーランスエンジニアになることを勧めるものではありません。読んで頂いた皆様が今後キャリアを考える際に、ひとつの選択肢として「フリーランスエンジニア」を考える良いきっかけになればと思っています。